キネマ旬報が創刊90周年を記念してオールタイムベスト映画の選出結果を発表しています。雑誌で90周年というのも驚きますが、選出もなかなか興味深い結果となっています。10年前の80周年記念時の結果も合わせて紹介してみます。
(以下のリストは同社ホームページより抜粋)
●2009年 キネマ旬報創刊90周年記念
【日本映画 オールタイム・ベストテン】
1位 東京物語
2位 七人の侍
3位 浮雲
4位 幕末太陽傳
5位 仁義なき戦い
6位 二十四の瞳
7位 羅生門
7位 丹下左膳餘話 百萬兩の壺
7位 太陽を盗んだ男
10位 家族ゲーム
10位 野良犬
10位 台風クラブ
(7位は同点で3作品、10位は同点で3作品)
*選考者114名による集計
【外国映画 オールタイム・ベストテン】
1位 ゴッドファーザー
2位 タクシー・ドライバー
2位 ウエスト・サイド物語
4位 第三の男
5位 勝手にしやがれ
5位 ワイルドバンチ
7位 2001年宇宙の旅
8位 ローマの休日
8位 ブレードランナー
10位 駅馬車
10位 天井棧敷の人々
10位 道
10位 めまい
10位 アラビアのロレンス
10位 暗殺の森
10位 地獄の黙示録
10位 エル・スール
10位 グラン・トリノ
(2位は同点で2作品、5位は同点で2作品、
8位は同点で2作品、10位は同点で9作品)
*選考者121名による集計
●創刊80周年記念時(1999年発表)
【日本映画 オールタイム・ベストテン】
1位 七人の侍
2位 浮雲
3位 飢餓海峡
3位 東京物語
5位 幕末太陽傳
5位 羅生門
7位 赤い殺意
8位 仁義なき戦い
8位 二十四の瞳
10位 雨月物語
(3位は同点で2作品、5位は同点で2作品、
8位は同点で2作品)
【外国映画 オールタイム・ベストテン】
1位 第三の男
2位 2001年宇宙の旅
3位 ローマの休日
4位 アラビアのロレンス
5位 風と共に去りぬ
6位 市民ケーン
7位 駅馬車
7位 禁じられた遊び
7位 ゴッドファーザー
7位 道
(7位は同点で4作品)
この手のオールタイムベストは、あちこちで時々目にすることができます。選出する国や人によってもちろん結果が異なります。それでも、同じものも選ばれ名作として不動の地位を保っている作品も多数あります。キネ旬の選出結果では、10年前と順位が大分変わっているのがまた興味をひきます。
みなさんのマイベスト作品リストはどんなものでしょうか。
私の場合も何が入るか考えてみました。真剣にやるとなると時間をかけて考える必要があります。そのため今回は直感的に思いついたものを上げてみます。まず、邦画と洋画がありますが、私の場合は洋画:邦画が8:2くらいの比率で見ています。ということで今回は洋画についてのみ考えてみます。
はじめに、選出リストの中で同感の作品は、「2001年宇宙の旅」、「ローマの休日」、「ブレードランナー」、「天井桟敷の人々」、「道」この辺りになります。(定番中の定番ですね)
ちなみに、この中で「2001年宇宙の旅」はマイベストワンの地位をずっと保っています。公開時にリアルタイムで観たのですが、まだ子供のときだったのでその時はよく理解できず、その後何度も観るうちに確信に至ったという曰く付き作品です。
「ブレードランナー」のようなSF映画が今回ランクインしたことは大変にうれしいことです。これも公開当時は話題にならず、その後、徐々にカルトムービー化して、ついに21世紀になってベスト10入りを果たしました。
スコセッシも好きな監督ですが、「タクシー・ドライバー」の他にも選びたくなってしまいます。(たくさんあって選ぶのが難しい)
ミュージカルで「ウエスト・サイド物語」を入れるならば「サウンド・オブ・ミュージック」も入れたくなります。
10位に「グラン・トリノ」が入っていますが、これは今年見たばかりの映画です。普通、オールタイムで選ぶと極最近のものは入りにくいのですが、これは納得しました。とてもいい映画です。クリント・イーストウッドは年を重ねるに連れてすごみを増しています。
さて、次は私の個人的に思い入れがあって上位にランクされるであろう作品について考えてみます。
この場合、監督名から考えるのがわかりやすくなります。
始めに、アンドレイ・タルコフスキー「惑星ソラリス」(1972)とテオ・アンゲロプロス「霧の中の風景」(1988)は、はずすことはできません。過去において最も衝撃を受け深い感銘を受けた作品の一つです。
このようなアート系の映画がベスト10に入っていないのはなぜでしょうか。
(この2人の作品についてはいくらでも語ることができますが、また別の機会に)
彼らの作品がなかったら映画という世界は寂寥としたものになることでしょう。
次に、前回書いたようにここに中国映画が入っていないのも個人的には不満です。
これもたくさんあって上げるのに困りますが、まずはチェン・カイコー「さらば、わが愛 / 覇王別姫」(1993)でしょうか。私にとって中国映画に傾倒することになった記念碑的作品です。
他にも、チアン・ウェン「太陽の少年」(1994)を上げます。日本でも95年に公開されました。文革時に北京にぽっかり空いた時間と空間を描いた一人の少年の青春記ですが、こんなに瑞々しい感性を持って描かれた作品にはなかなかお目にかかれません。記憶ではタイム誌が選ぶ95年の世界映画のベスト作品に選ばれました。アメリカが中国映画を評価したということにも驚いたものです。
中国映画では今や巨匠となったチャン・イーモウも忘れるわけにはいきません。
一つ上げるのは難しいのですが、「初恋のきた道」(1999)を上げましょうか。
少々気恥ずかしくなる作品ですが、何といってもチャン・ツィーの初々しさの前には全てが色あせてしまいます。
香港映画については、前回書いたようにピータ・チャンとウォン・カーワァイがエントリーを狙うことになります。
インド映画からは、マニラトラム監督の「ボンベイ」(1995)の一本を上げます。
インド映画伝統の踊りのシーンが圧巻ですが、ムスリム対ヒンディーの対立が描かれ社会派映画としても秀逸です。ヒロイン役のマニーシャ・コイララが清楚でとてもよいです。
他に、深い感動を得ることができた作品を一つ。ミルチョ・マンチェフスキー「ビフォ・ザ・レイン」(1994)を上げます。ユーゴスラビアの監督ですが、マケドニアの内戦を描いた作品です。ロンドンとマケドニアを舞台としたオムニバス構成になっていますが、それが時間の円環構造となってめまいを覚えさせます。戦争の悲劇を描きながらもとても美しく深い余韻を残す作品です。
最後に、ベストに入れるか悩むところですが、番外編ということで異色な作品群です。
まずはデヴィッド・リンチからです。日本でもツイン・ピークスなどで知られていますが、脳内をかき混ぜられるような独特の映像感覚を持っています。一つ上げるとすると「マルホランド・ドライブ」(2001)でしょうか。
もう一人は英国の映画作家のピーター・グリーナウェイです。とても毒が強くて、一般受けどころか嫌悪されかねない作品を多数作っています。ここからは「ベイビー・オブ・マコン」(1993)を上げます。上辺の美しさや面白さだけが映画ではないということを思い知ることができます。神は細部に宿るのです。その表現には限りがありません。
他にも、挙げたい作品がたくさん出てきましたがキリがなくなるのでやめておきます。考えれば考えるほどベスト10を選ぶのは難しくなります。そうやって悩むのもまた楽しからずやなのですが。
名作ライブ 鈴木
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