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(13) 「東京物語」と「東京画」 -1

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by meisakulive 作成日 2009年06月22日  更新日 2009年06月22日
 今回は日本映画の名作からです。1950年代にいわゆる名画といわれる作品が生み出されています。小津安二郎、溝口健二、黒澤明に代表される監督の作品です。溝口、黒澤は、この時期、国際映画祭で賞を多数とっています。名作目録にそのリストがありますが、小津作品は残念ながらその中に入っていません。現在では、日本映画では小津作品といわれるくらい国内外を問わず有名ですが、なぜでしょうか? これは筆者の想像ですが、黒澤作品は、「羅生門」「七人の侍」など、とてもドラマティックで映画の技法にしてもとても考えて作られていて、誰がみても引き込まれる要素を持っています。一方、溝口作品は、「近松物語」「雨月物語」「山椒大夫」など日本の伝統的な題材をもとに感性豊かに描いていて、近代西洋から見るととても新鮮に映ったのだろうと思います。映画祭の場合は、それまでに観たことのない題材や新しい才能の発掘という視点で選ばれる要素があるので、その点では、黒澤や溝口作品は認めやすかったのではないでしょうか。

 一方、小津作品では、描かれているのは日本ですが、きわめて日常的なことが題材になっています。ホームドラマといってもいい内容です。黒澤作品のように劇的な展開になることもなく、淡々と家族の姿を描きながら綴られていきます。しかし、それだからこそ、その中に流れる細やかな感情の流れは普遍性を持っています。海外で再発見のようにして多くのファンが出ているのはそういう理由からだと思います。

 さて、小津作品ですが、やはりひとつあげるとすると「東京物語」(1953)ということになるでしょう。物語は、尾道から東京にいる子供たちに会いに出た老夫婦を描きます。
忙しい子供夫婦には相手にされずに、戦争で亡くなった次男のお嫁さん(原節子)との交流が暖かく描かれていきます。父親役の笠智衆と原節子が最高です。ちょっとした台詞や仕草、間の取り方など、そこに流れる豊かな時間は至福とも言えます。旅行から帰り妻を失い葬式を済ませた後、一人きりになった笠智衆の最後のシーンには豊かな余韻が残ります。

 海外にもたくさんの小津ファンがいます。その中でも熱烈ともいえる愛を表明しているのがドイツの映画監督「ヴィム・ベンダース」です。1985年に、小津安二郎と「東京物語」に捧げた「東京画」という作品を作っています。この話はまた次回にしましょう。

 名作ライブ 鈴木


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