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(7) UCSB library 蝋管音楽プロジェクト

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by meisakulive 作成日 2009年05月18日  更新日 2009年05月18日
前回に続き1900年前後の音楽を取り上げます。文学や美術の
場合は、作品そのものを後世に残すことができます。クラシック音楽の場合、
楽譜の形で後世に伝えることができました。それらに加えて、19世紀には、
写真、録音、録画の技術が生まれました。20世紀には、それらが
新しいメディアとして花開くことになります。現在では、名作の多くもそれらなくしては
存在できないと言っても過言ではありません。

今回は、その中の録音された音楽について、ちょっと面白いものを紹介します。
歴史的には、1977年のエディソンによる銀箔円筒式の録音が最初期に
なります。その後、ワックスを塗ったシリンダー式に改良されました。
その蝋管録音と蓄音機は、19世紀末から20世紀始めにかけて使われ、
数多くの音楽が録音されて残されました。
(実際は、この少し後に発明された平円盤式のレコードが主流になるのですが、
今回は取り上げません)

この方法は、電気的な変換をせずに、蝋管に直接音の振動を記録します。
一発録音のダイレクトカッティングというところでしょうか。録音時間も数分間で、
録音済み蝋管の保存も大変です。なので、放っておくと歴史の中に埋もれる
存在でした。ところが、それらを現代に甦らせたプロジェクトがあります。

カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校のライブラリによる以下のプロジェクトです。

Cylinder Preservation and Digitization Project:
UCSB (University of California, Santa Barbara) library

 http://cylinders.library.ucsb.edu/

上記URLで無料で公開されています。
このプロジェクトは、1890年くらいから1920年くらいまでの
蝋管に記録された音楽をデジタル化して順次公開しているものです。
現在、約8000シリンダーが完了しているとのことです。
筆者は2005年にこの存在を知りましたが、現在も着実に
進んでいるようです。2008年のタイム誌の50 best websitesに
選ばれたとも書いてあります。

当時、大衆に聴かれていたであろう様々なジャンルの音楽が
整理され、最新技術でデジタル化された音楽がwav, mp3で
簡単にダウンロードできるようになっています。

例えば、当時のヒット曲であるBilly Murrayの
Alexander's ragtime band(1911)を聴くことができます。

変わったところでは、大統領のスピーチもあります。
有名なLincoln's speech at Gettysburgがあったのですが、
これは1863年ですから、当時の生の録音ではありません。
Harry E. Humphrey (1912)となっているので原稿から採録
したのでしょう。

世界の国の音楽も国別にまとめられています。
日本の曲も2曲有りました。
資料にはSokichi Kudzuoka , [Dodoitsu](1902)
となっていましたが、都々逸が、どうしてアメリカに残っていたのか、
それ以上の資料がないのでわかりませんが、大いに興味を
そそられます。

音質は、さすがに1890年代のものはノイズが多いですが、
1920年ころのものでは、円盤式レコードと比べて遜色なく、
十分に鑑賞することができます。

筆者は、このライブラリから選曲してmp3でダウンロードしています。
そして、それらをCDにしたりiPodに入れて聴いています。
今から100年以上も前に生きた人々の息吹を感じることができます。
思えば、それらが時代を超え、遠く東洋の個人がiPodで持ち
歩きながら聴くことができる、というのは、当時の人たちには
想像もできないことでしょう。
こういうときはテクノロジーの恩恵をつくづく感じる瞬間でもあります。

次回も関連した話題です。1900年の日本人による初の録音
について紹介します。そして、こうした歴史的な記録をどう残すかの
アーカイブについても考えてみたいと思います。

 名作ライブ 鈴木

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