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(5) 「ユメ十夜」そして「夢」
by meisakulive 作成日 2009年05月07日  更新日 2009年05月07日
漱石先生が続きます。前回まで「草枕」を取り上げた
ので、少々難しい話が続きました。今回は頭を柔らかくしましょう。

取り上げるのは、蔵書にもある「夢十夜」です。
「こんな夢を見た」で始まる不思議な十の夢の物語です。
それぞれトーンの違うオムニバス形式になっています。
第一夜は、「百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと
逢いに来ますから」と言われて100年待ち続ける男の話です ...
(10) アーカイブの果たす役割について -2
by meisakulive 作成日 2009年06月04日  更新日 2009年06月04日
前回の続きです。ライブラリやアーカイブの機能を持つ組織や機関を見て行きましょう。

まず、日本の文学では、日本近代文学館:http://www.bungakukan.or.jp/ があります。
他にも、文学館が各地域や作家ごとにたくさんあって、他分野から比べると比較的そろっているように思います。

生活、歴史、民俗に関するものとしては、次の2つがまず上げられます。

国立民族学博物館 ...
(12) 「ファンタジア」の快楽
by meisakulive 作成日 2009年06月16日
 ここでは、主に名作にからむ周辺の話題を取り上げています。
少々堅苦しい内容が続いたので、今回はとても楽しい映画をみてましょう。
映画にも名作がそれこそ山のように存在しています。

 今回は、その中でも異色のアニメ映画です。アニメといえば現在は日本が世界をリードしていて、近年にもたくさんの名作が生み出されています。それらはまた別の機会に取り上げることにして、今回はそれらに先立つ歴史的名作の ...
(13) 「東京物語」と「東京画」 -1
by meisakulive 作成日 2009年06月22日  更新日 2009年06月22日
 今回は日本映画の名作からです。1950年代にいわゆる名画といわれる作品が生み出されています。小津安二郎、溝口健二、黒澤明に代表される監督の作品です。溝口、黒澤は、この時期、国際映画祭で賞を多数とっています。名作目録にそのリストがありますが、小津作品は残念ながらその中に入っていません。現在では、日本映画では小津作品といわれるくらい国内外を問わず有名ですが、なぜでしょうか? これは筆者の想像ですが、 ...
(14) 「東京物語」と「東京画」 -2
by meisakulive 作成日 2009年06月23日

 前回に続きます。ヴィム・ヴェンダースはドイツの映画監督です。数々の作品があって日本にもファンが多い監督の一人ですが、熱烈な小津ファンであることでも知られています。そんな彼が、小津監督と「東京物語」にオマージュを捧げた作品「東京画」(1985)を紹介します。この映画は83年に来日した際に撮られたものです。この映画の冒頭には「東京物語」のオープニング、最後には同じくラストシーンがそのまま使われて ...
(15) 「珈琲時光」の優しい眼差し
by meisakulive 作成日 2009年06月30日
 「東京物語」に触発されて眼を広げてみました。同じような世界観を感じさせる映画を思いおこしてみます。日本人では現役の作家が中々思い付きません。現在の閉塞的な日本の社会がそうさせているのかもしれません。一方、中国の映画監督には何人か思い当たります。一人は、中国のジャ・ジャンクー監督です。「世界」(2004)「長江哀歌」(2006)など、若手ながら近年優れた作品を送り出しています。激変する社会の中に生 ...
(16) 「夢野久作」の妖しい世界へようこそ
by meisakulive 作成日 2009年07月14日
今回は、名作ライブにも蔵書がある夢野久作の著書についてです。6月に追加版として「ドグラ・マグラ」と「少女地獄」を載せました。初回版に載せるのはためらわれましたが、今回は満を持しての登場です。(大げさかな)

「ドグラ・マグラ」ですが、天下の奇書と言われます。沼正三の「家畜人ヤプー」と双璧をなします。個人的にはこの二作は名作だと思っています。(名作の定義は人によるので、そう思わない人がいても ...
(20) 「波の盆」-1 静かなる反戦の歌
by meisakulive 作成日 2009年08月20日  更新日 2009年08月20日
 今年もお盆と共に終戦記念日を迎えました。毎年その暑さと共に戦争のことが思い出されます。といっても、多くの人は戦後生まれで直接体験はしていません。しかし多くの語り部による戦争体験の記録、そしてたくさんの人たちによって描かれた文学、美術、映画、音楽などの作品の中にその記憶が留められることによって、これからも語り継がれていくことでしょう。

 そんな中、思い出した作品があり何年か振りに見たものを紹 ...
(21) 「波の盆」-2 武満徹の彼岸の音楽
by meisakulive 作成日 2009年08月25日
 前回に続き「波の盆」です。この作品の音楽は武満徹(1930-1996)が書いています。武満徹は、いわゆる西洋音楽の中の現代音楽というジャンルの作曲家です。多くの管弦楽曲、ピアノ曲、ギター曲などを残しています。しかしその中には日本的な感性が色濃く反映されています。その西洋と東洋を越えたところから聴こえてくる独特の響きに多くの人が魅了されました。海外にも多くの信奉者を持っています。私もその一人です。 ...
(23) 「キャデラック・レコード」 ポピュラー音楽の輝かしい1ページ
by meisakulive 作成日 2009年09月01日  更新日 2009年09月01日
 今回は最近公開された新しい映画作品を取り上げます。
キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~(原題:CADILLAC RECORDS ,2008米)という映画です。1950年代から60年代のアメリカのポピュラー音楽の転換点を描いた作品です。ブルースの発展とロックの誕生までがアメリカの歴史と重なって描かれます。その音楽の演奏シーンもいいのですが、黒人社会で生まれた音楽がどのよ ...
(24) 「真夏の夜のジャズ」 50年代アメリカの幸福な瞬間の記録
by meisakulive 作成日 2009年09月09日
 前回は1950年代のアメリカを描いた作品の紹介でした。今回も関連して50年代アメリカの雰囲気がよくわかるドキュメンタリー映画作品を紹介します。

真夏の夜のジャズ (原題:Jazz on a Summer's Day 1959年アメリカ映画 82分)

 この映画は、1958年に行われた第5回ニューポート・ジャズ・フェスティバルの模様を描いています。アメリカの開放的な野外コンサートの様子 ...
(26) スタージョンの法則
by meisakulive 作成日 2009年09月25日
 いつもはある名作をテーマにしていますが、今回はそれらを楽しむ上で個人的に思うことを書いてみます。

 読者の皆さんは、日々たくさんの本や映画、音楽、絵画などに触れ、大げさに言えば名作に出会う旅を続けていることと思います。本当に感動できる作品に出会ったときはこれに勝る喜びはありません。しかし、なかなかいつも簡単に出会えるとは限りません。

 ここに、アメリカの作家シオドア・スタージョンが言 ...
(27) 本を読むということ  映画、音楽、美術との比較において
by meisakulive 作成日 2009年10月01日  更新日 2009年10月01日
 ここでは主に今までに出会った本、音楽や映画などからこれはと思うものを取り上げています。(従ってかなり個人的主観的な選択になっています。)何年も前に出会ってよいと思ったものはたくさんありますが、それらについて何かを語ろうとすると少々困ったことになります。何らかの形で書くためには正確さを記す必要があります。感動し印象に強く残った記憶はあるものの、さすがに何年も前に読んだ本のディテールを全て覚えている ...
(28) メディアの持つ力 -1
by meisakulive 作成日 2009年10月06日
 今回は、我々が本(文学)、映画、音楽、絵画(美術)などを楽しむ際にとても重要な意味を持つメディアについて考えてみます。
 この中で映画は比較新しいメディアです。(といっても既に100年以上の歴史はあるが)その他は千年単位での歴史を持っていることはご存じの通りです。それらを振り返ってみましょう。

 例えば、昔々ある所で誰かが物語を作ったとします。その誰かの中の存在だけではいずれ消滅してしま ...
(29) メディアの持つ力 -2
by meisakulive 作成日 2009年10月13日
 前回は、紙への印刷技術によって「本」という複製メディアが誕生したところまでした。今回はその続きです。

 「本」あるいは「書物」は現代人もその恩恵を受けていることはご存じの通りです。歴史も既に500年以上あることになります。「本」は人間の知的な営みを生産する重要な役割を果たしてきました。印刷された最初の書物は「聖書」だったことは西洋社会としては当然のことでした。しかし、書物は啓蒙だけではなく ...
(30) 「フェルメールの1枚の絵を巡って」 (その一) 西洋と日本の表現の違い
by meisakulive 作成日 2009年10月20日  更新日 2009年10月20日
 1枚の絵画を巡る物語を軸に色々書いてみます。画家の名前はフェルメール、17世紀オランダはデルフトの人です。その絵のタイトルは「青いターバンの少女」またの名を「真珠の耳飾りの少女」といいます。光に輝く真珠のイアリングを付けた少女がこちらを振り返っています。青いターバンが鮮やかです。背景が黒く塗りつぶされているフェルメールにとっては珍しい構図ですが、それだけにこの少女の瞳が見る人をつかんで離しません ...
(31) 「フェルメールの1枚の絵を巡って」 (その2) 『真珠の耳飾りの少女』
by meisakulive 作成日 2009年10月27日
 フェルメールの1枚の絵を巡る物語についての続きです。今回は、次のタイトルの小説とその映画化作品を取り上げます。

 「真珠の耳飾りの少女」(原題:Girl With a Pearl Earring)
 トレイシー シュヴァリエ著(1999)(白水社刊 2004)

 「真珠の耳飾りの少女」(原題:Girl With a Pearl Earring)
 ピーター・ウェーバー監督作品(イ ...
(32) 「THIS IS IT」
by meisakulive 作成日 2009年11月04日  更新日 2009年11月04日
 いつもはどちらかというと古い時代の話をしていますが、今回は最近話題のホットな映画「THIS IS IT」について書いてみます。

 6月に急死したマイケル・ジャクソンは、大きく世界のメディアで取り上げられ社会現象にまでなりました。最後のライブになると言われたロンドン公演の1か月前のことでした。この映画は、死の直前に行われていたリハーサルを映画化し10月28日に世界同時公開されたものです。2週 ...
(35) 香港、中国映画の魅力 ピーター・チャンの「月夜の願い/新難兄難弟」
by meisakulive 作成日 2009年11月26日  更新日 2009年11月26日
 中国映画の話です。11月22日夜のテレビ番組NHKスペシャル「チャイナ・パワー」で、中国映画の世界進出の話を特集していました。そこで出てきたのが香港出身の映画監督ピーター・チャンです。もちろん現役バリバリの監督ですが、とても懐かしく思ってしまいました。今、中国は沸騰しています。自国の映画を世界に売り込もうというすさまじい競争が起こっているというテーマでした。ハリウッドでの映画作りが低調だと伝えら ...
(36) 香港映画の宝 「ウォン・カーワァイ」はゴダールか
by meisakulive 作成日 2009年12月02日
 前回に続き香港映画の紹介です。ピーター・チャンとはまた異なる作風の香港映画監督のウォン・カーワァイについてです。彼も現役ですが、90年代に名作をたくさん残しています。

 まずは主要作品リストから。

「欲望の翼」阿飛正傅/DAYS OF BEING WILD(1990)
「楽園の瑕(きず)」東邪西毒/ASHES OF TIME(1994)
「恋する惑星」重慶森林/CHUNGK ...
(37) キネマ旬報 創刊90周年記念 オールタイム・ベストテン映画選出から
by meisakulive 作成日 2009年12月08日
 キネマ旬報が創刊90周年を記念してオールタイムベスト映画の選出結果を発表しています。雑誌で90周年というのも驚きますが、選出もなかなか興味深い結果となっています。10年前の80周年記念時の結果も合わせて紹介してみます。
(以下のリストは同社ホームページより抜粋)

●2009年 キネマ旬報創刊90周年記念
【日本映画 オールタイム・ベストテン】
1位 東京物語
2位 七人の侍
3位 ...
(38) 2009年の終わりにあたって -過去のdecadeを振り返って-
by meisakulive 作成日 2009年12月15日  更新日 2009年12月15日
 2009年も残り後わずかになりました。早いものでミレニアムを改めてから10年が経とうとしています。日本には元号という昔からの時代区分があります。明治、大正、昭和まではその名称と共にその時代がはっきりイメージできました。昭和xx年に何があった、という共通の認識が持てたものです。平成になって20年以上が経ちました。しかし、平成xx年といってもどうもピンときません。西暦xxxx年と言った方がわかりやす ...
(40) 「世界の合言葉は森」 ル・グィンの神話的物語 
by meisakulive 作成日 2010年01月07日
 昨年末に話題の映画「アバター」を観ました。ジェームズ・キャメロンの久しぶりの大作でもありますが、その映像技術の進歩には驚くべきものがありました。舞台は森が世界を支配する地球から遠く離れた衛星パンドラ、地球人がそこにしかない資源を求めて訪れます。そこには先住民のナヴィ族が自然と共生しています。2つの異文化の交流と衝突、そしてその自然との関係が軸となり物語が進んでいきます。

 この映画を観てい ...
(42) 「和」と「洋」を巡る旅
by meisakulive 作成日 2010年01月26日
 今までにたくさんの「名作」が世界中で生み出されてきました。その中には日本産の「和」あるいは「邦」と、外国産の「洋」の2つがあります。この関係は微妙です。例えば美術に関しては「日本画」と「洋画」、映画では「邦画」(日本映画)と「洋画」(外国映画)、ポピュラー音楽では「邦楽」(今はJ-POPと呼ばれる)と「洋楽」、文学では「日本文学」と「外国(海外)文学」などと区別されます。

 日本の場合は、 ...
(43) 情報の爆発にどう向き合うか
by meisakulive 作成日 2010年02月03日
 このところ思うところの雑感です。

 昔と比べて現代社会では情報が爆発しています。ここでも何度かメディア史などを紐解きながら触れてきました。現在は、新聞、雑誌、本、テレビにインターネットといったメディアを通して毎日大量の情報が発信されています。その情報の洪水に押し流されないようにしなければいけません。下手をすると溺れてしまいます。
 その中から自分にとって意味のある情報を読み解くスキルが必 ...
(44) 写本に命をかけた物語 -1 井上靖「敦煌」から
by meisakulive 作成日 2010年02月17日  更新日 2010年02月17日
 人類による文字と印刷技術の発明によって本の大量複製ができるようになり、世界が変わった話は(28)(29)でもしました。
 今回は印刷技術の発明以前に一冊(一巻)の書物がどれだけ価値があったかという物語についてです。
 
 というのも、つい最近の報道を見て色々思ったからでした。グーグルによる世界中の書籍の電子化プロジェクト、さらには電子書籍端末のキンドルやiPadの発売の報道がそれです。国内 ...
(54) 今敏 日本が世界に誇るアニメ監督の訃報に接して
by meisakulive 作成日 2010年08月26日
日本が世界に誇るアニメ監督の今敏(こん・さとし)が亡くなりました。まだ46歳とのことです。

訃報に接して思うところを書いてみます。

監督としての映画作品は次の4本があります。

パプリカ(2006)
東京ゴッドファーザーズ(2003)
千年女優(2001)
PERFECT BLUE パーフェクト ブルー(1998)

どれもを劇場で見たのですが、その世界観に圧倒されたこと ...
(55) 「インド夜想曲」のアラン・コルノー監督亡くなる
by meisakulive 作成日 2010年09月01日  更新日 2010年09月01日
 フランスの映画監督のアラン・コルノーが67歳で亡くなったとの新聞報道が昨日出ていました。このところ訃報をきっかけに書くことになることが多いことは悲しいことです。

 アラン・コルノーといったら、まず真っ先に思い出すのは、「インド夜想曲」(1988)です。この作品を観たのはずいぶん前ですが、ずっとどこか心に引っかかっていました。いずれ観なおして(読みなおして)みたいと思っていました。

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