いつもはある名作をテーマにしていますが、今回はそれらを楽しむ上で個人的に思うことを書いてみます。
読者の皆さんは、日々たくさんの本や映画、音楽、絵画などに触れ、大げさに言えば名作に出会う旅を続けていることと思います。本当に感動できる作品に出会ったときはこれに勝る喜びはありません。しかし、なかなかいつも簡単に出会えるとは限りません。
ここに、アメリカの作家シオドア・スタージョンが言 ...
小説にはたくさんのジャンルがありますが、ミステリが好きな人は多いと思います。今回はその中から最近読んだ印象に残った作品を取り上げます。
始めに個人的なことからですが、私はミステリあるいは推理小説というジャンルはそんなに数多く読んでいるとはいえません。ミステリファンのような知識は持っていないことをまずお断りしておきます。(うかつなことを書くと叱られそうです)
いわゆる推理小説を多読 ...
前回は1950年代のアメリカを描いた作品の紹介でした。今回も関連して50年代アメリカの雰囲気がよくわかるドキュメンタリー映画作品を紹介します。
真夏の夜のジャズ (原題:Jazz on a Summer's Day 1959年アメリカ映画 82分)
この映画は、1958年に行われた第5回ニューポート・ジャズ・フェスティバルの模様を描いています。アメリカの開放的な野外コンサートの様子 ...
今回は最近公開された新しい映画作品を取り上げます。
キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~(原題:CADILLAC RECORDS ,2008米)という映画です。1950年代から60年代のアメリカのポピュラー音楽の転換点を描いた作品です。ブルースの発展とロックの誕生までがアメリカの歴史と重なって描かれます。その音楽の演奏シーンもいいのですが、黒人社会で生まれた音楽がどのよ ...
武満徹を偲んで、その音楽についてもう少し書いてみます。有名なものとしてはオーケストラと尺八、琵琶が共演しているノヴェンバー・ステップスあたりを一般的には上げることになるのでしょう。もちろん本分はそのような現代音楽ですが、前回書いたように、もう少しわかりやすく親しみやすい音楽もたくさん残しています。石川セリとのポピュラーソングのCDまで出しています。また、クラシックギターに愛着を持っていて、オリジ ...
前回に続き「波の盆」です。この作品の音楽は武満徹(1930-1996)が書いています。武満徹は、いわゆる西洋音楽の中の現代音楽というジャンルの作曲家です。多くの管弦楽曲、ピアノ曲、ギター曲などを残しています。しかしその中には日本的な感性が色濃く反映されています。その西洋と東洋を越えたところから聴こえてくる独特の響きに多くの人が魅了されました。海外にも多くの信奉者を持っています。私もその一人です。 ...
今年もお盆と共に終戦記念日を迎えました。毎年その暑さと共に戦争のことが思い出されます。といっても、多くの人は戦後生まれで直接体験はしていません。しかし多くの語り部による戦争体験の記録、そしてたくさんの人たちによって描かれた文学、美術、映画、音楽などの作品の中にその記憶が留められることによって、これからも語り継がれていくことでしょう。
そんな中、思い出した作品があり何年か振りに見たものを紹 ...
今回は、澁澤さんについての雑感を書いてみますが、極めて個人的なことになるのであしらかず。
もちろん面識があるわけでもなく、その著書を本格的に読み出したのは亡くなってからです。実は、私は80年代に澁澤さんが住んでいた北鎌倉の家からすぐ近くに住んでいました。鎌倉のどこという話をするときには、xx寺の近くというとすぐわかります。澁澤さんの家は、アジサイ寺で有名な明月院のすぐ近くです。私は80年代の ...
前回に続き「高丘親王航海記」について書いてみます。この幻想的な物語の豊かな語彙からつむぎ出される芳醇なイメージは筆舌に尽くせません。例えば、迦稜頻伽、羅羅人、采女、アンチポデス、パタリア・パタタ姫、などなど(読み方と意味はあえて伏せておきます)。地名、人名、固有名詞が多いですが、読み進めるとそこから様々なイメージが頭の中を駆け巡ります。難しい漢字も多いですが、漢字というのはこんなに豊かなイメージ ...
今回は、夢野久作に続き幻想と怪奇の世界を描いた特異な作家のお話です。その作家は、澁澤龍彦(1928-1987)です。フランス文学を中心に、マルキ・ド・サドの著書の紹介で知られます。裁判で有名になったこともよく知られています。たくさんのエッセイを書いていますが、どれも人間の精神面、特に陰の部分や暗黒面についての博識ぶりは他の追随を許しません。三島由紀夫も絶賛しており、多くのファンがいると思います。 ...