前回の続きです。東洋で守るべき写本は仏教の経典でした。その話が井上靖の「敦煌」に結実しました。一方、西洋で後世に伝えるべき写本を扱った作品が今回のテーマです。
戦後すぐに、死海の西岸にあるクムランで、大量の巻物になった写本が発見されたことは大きな話題になりました。書かれたのがちょうどイエス・キリストの時代だからです。つまりこれらを解読できれば現在の西洋の基盤を支えているといってもいい原始 ...
人類による文字と印刷技術の発明によって本の大量複製ができるようになり、世界が変わった話は(28)(29)でもしました。
今回は印刷技術の発明以前に一冊(一巻)の書物がどれだけ価値があったかという物語についてです。
というのも、つい最近の報道を見て色々思ったからでした。グーグルによる世界中の書籍の電子化プロジェクト、さらには電子書籍端末のキンドルやiPadの発売の報道がそれです。国内 ...
このところ思うところの雑感です。
昔と比べて現代社会では情報が爆発しています。ここでも何度かメディア史などを紐解きながら触れてきました。現在は、新聞、雑誌、本、テレビにインターネットといったメディアを通して毎日大量の情報が発信されています。その情報の洪水に押し流されないようにしなければいけません。下手をすると溺れてしまいます。
その中から自分にとって意味のある情報を読み解くスキルが必 ...
今までにたくさんの「名作」が世界中で生み出されてきました。その中には日本産の「和」あるいは「邦」と、外国産の「洋」の2つがあります。この関係は微妙です。例えば美術に関しては「日本画」と「洋画」、映画では「邦画」(日本映画)と「洋画」(外国映画)、ポピュラー音楽では「邦楽」(今はJ-POPと呼ばれる)と「洋楽」、文学では「日本文学」と「外国(海外)文学」などと区別されます。
日本の場合は、 ...
ピアノ音楽の話です。クラシック音楽を聴く人でピアノ曲が好きな人にとってマウリツィオ・ポリーニは神のような存在です。つい最近の昨年末のことですが、そのポリーニがついにバッハの平均率のアルバムを出しました。これは事件です。
ポリーニはモーツァルトやベートーヴェンの古典派からシューベルト、ショパンなどのロマン派、さらにはシェーンベルグ、ウェーベルン、ストラビンスキーなどの現代音楽まで多くのレパ ...
昨年末に話題の映画「アバター」を観ました。ジェームズ・キャメロンの久しぶりの大作でもありますが、その映像技術の進歩には驚くべきものがありました。舞台は森が世界を支配する地球から遠く離れた衛星パンドラ、地球人がそこにしかない資源を求めて訪れます。そこには先住民のナヴィ族が自然と共生しています。2つの異文化の交流と衝突、そしてその自然との関係が軸となり物語が進んでいきます。
この映画を観てい ...
前回は19x9年を振り返りました。今から10年前の1999年はまだ記憶に新しいことでしょう。21世紀は正確には2001年からですが、1999年から西暦2000年にカウントアップするというのはやはり気分的にもワクワクしたものです。
さて、この1000年に一度のMillennium (千年期)に英国で行われた興味深い投票がありました。今からちょうど10年前の1999年末のことです。Music ...
2009年も残り後わずかになりました。早いものでミレニアムを改めてから10年が経とうとしています。日本には元号という昔からの時代区分があります。明治、大正、昭和まではその名称と共にその時代がはっきりイメージできました。昭和xx年に何があった、という共通の認識が持てたものです。平成になって20年以上が経ちました。しかし、平成xx年といってもどうもピンときません。西暦xxxx年と言った方がわかりやす ...
キネマ旬報が創刊90周年を記念してオールタイムベスト映画の選出結果を発表しています。雑誌で90周年というのも驚きますが、選出もなかなか興味深い結果となっています。10年前の80周年記念時の結果も合わせて紹介してみます。
(以下のリストは同社ホームページより抜粋)
●2009年 キネマ旬報創刊90周年記念
【日本映画 オールタイム・ベストテン】
1位 東京物語
2位 七人の侍
3位 ...
前回に続き香港映画の紹介です。ピーター・チャンとはまた異なる作風の香港映画監督のウォン・カーワァイについてです。彼も現役ですが、90年代に名作をたくさん残しています。
まずは主要作品リストから。
「欲望の翼」阿飛正傅/DAYS OF BEING WILD(1990)
「楽園の瑕(きず)」東邪西毒/ASHES OF TIME(1994)
「恋する惑星」重慶森林/CHUNGK ...